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topic of the month

ここでは毎月トピックを決め、ちょっと奥深く掘り下げた内容を提供したいと思います。
トピックにして欲しい内容がありましたら掲示板又はメールにてお知らせ下さい。

7月のトピック

北海道下川町の精油と芳香蒸留水

北海道下川町森林組合の田辺さんより、バーチ(白樺)、モミ、ヨモギ、ドスナラと
美しい森の香りがぎゅっと詰まった4種類の芳香蒸留水、
それにモミの木の精油を送っていただきました。
芳香蒸留水は、水そのものの美しさもさながら、
それぞれの蒸留水の持つ香りの豊かさや繊細さにショックなほど感動です!
モミの木の精油も繊細で清潔感があります。でもトゲのあるシャープな香りではなく
あくまでも優しくて凛とした繊細なスッキリさなんです。
これはすごいぞ!私は興奮しましたっ!
こんな素晴しいものをうみだす下川町の森林ってどんなところなんだろう?
そして、この森を育み大切にしていく森林組合って
どんな人達が、どんな活動をしているんだろう?
北海道の美しい森の香りに包まれ、私の頭の中は知りたいことでいっぱいになりました。

今月のトピックは、そんな疑問を解決したく
下川町森林組合の田辺さんにインタビューをお願いしました。
私の芳香蒸留水の使用感とあわせてお楽しみください。


下川町森林組合の田辺さんにインタビュー
*田辺さんの言葉は黒文字、私の言葉は青字になっています。
*インタビュー内の写真は田辺さんの提供です。

1 下川町森林組合について教えてください。(場所、設立理由、活動内容などなんでも)

北海道の北部に下川町(人口約4000人)という小さな町があります。下川町森林組合は下川町の6万ha(東京23区位の面積)近くある森林のうち、約8000haの民有林(私有林と町有林)を管理しています。森林組合というのは、森林所有者の共同組合で、農協や漁協と同じような団体です。昭和17年から、森林を育てながら木材を生産する森づくりを始め、炭焼きや木酢・燻煙防腐材、集成材などに間伐材を無駄なく使う加工事業も行なってきました。


下川町の写真。うっとり〜。いつか絶対ここに行くんだ!と決めました。

 

2 モミの木の精油や芳香蒸留水を製品にしようと思ったきっかけはなんですか?(作り方も)

トドマツ(モミ)の森のお手入れの際、木を切って森の中を明るくする、間引きというとても大切な仕事があるのですが、間引きされた木の利用される部分は幹だけで、 枝葉を森に捨てて行くのはもったいない。何か活用できないかと、長年の懸案でした。しかし今から5年前、モミの葉から精油を採ろうという計画がまとまり、森林組合の工場内に水蒸気蒸留装置を完成させました。間伐現場から、枝葉をできるだけフレッシュなうちに蒸留所に運び、低温でゆっくり抽出すると、私たちでもウットリするくらい、いい香りの精油が採れたのです!!しかも、同時に得られるハイドロソル(芳香蒸留水)は思った以上に素敵な香り。よし、これも製品化しちゃえ!となった訳です。蒸留釜は、熱源(ボイラー)で温められた100℃の水蒸気が、釜の下から葉っぱのすみずみまで行き渡るように工夫を凝らしてあります。約2時間後、プラントの中はモミの素敵な香りで包まれています。そして、ゆっくり冷やされたモミのエッセンスは、分離タンクの中でエッセンシャルオイルとハイドロゾルとなるのです。

 
美しいグリーンのモミの木。森の香りが伝わってきそうです。

 

3 製品化するにあたり、何か苦労などはありましたか?

 

森林組合の陣内さん。その姿はまさしく
「モミ間伐現場があると聞けば、白衣を脱ぎ捨て、地下足袋にヘルメット姿に変身!」ですね。

わたしたちは精油を採るために木を伐るということは出来ません。あくまで間伐材を有効的に利用することが目的なのですが、 実はモミの木の間伐は冬期を中心に行なわれることが多いのです。しかも良質のオイルが採れる季節はは春から秋にかけて。つまり、数少ないモミ間伐現場があると聞けば、白衣を脱ぎ捨て、地下足袋にヘルメット姿に変身!直ぐさま現場へ車を走らせるのです。間伐されたモミの枝葉からは、芳香成分がどんどん揮発していきますので、急いで蒸留所に持って行って抽出します。まだ抽出を始めたばかりの頃、抽出前の葉っぱから何故か湯気が…?変だなぁと思って覗いてみると、何と発酵しているではありませんか!!あぁ…モミさんごめんなさい…。申し訳なくも、その葉っぱはダメにしてしまいましたが、夏の間などはとくに、その日のうちに抽出しないと葉っぱはもう使えないということが判明したのでした。

ところで、春に訪れる新緑のシーズン。モミの木も枝先から柔らかい鮮やかな緑の葉っぱが生えてきますが、この若葉から抽出した精油が、とてもいい香りがすることが分りました。ですから、近い将来、この若葉からオイルを出来るだけたくさん抽出して、プレミアとして販売したいと思っています。

4 今後、モミ以外にも精油や芳香蒸留水を製品化する予定はありますか?

今年度、販売目標としているのが、野生の「よもぎ」、「しらかば」、「もくせい」のハイドロゾルです。山の手入れの時や、苗木に覆いかぶさる植物を刈る「下草刈り」という作業があるのですが、スタッフから野生のヨモギ畑があるよと聞けば、再び白衣を脱ぎ捨て現場に直行!!工場へ運び、フレッシュなうちに蒸留します。「もくせい」もなので、抽出は秋口までが勝負です。残念ながら精油は採れないのですが、その代わり素晴らしい香りのハイドロゾルが得られます。ただ、 無菌状態でボトル詰めするのが難しく、防腐剤を入れたくないこともあって、ここまで開発に2年もかかりましたが、前任の亀山さんが、化学の知識をもっていたおかげで何とか解決しました。

● 「よもぎ」は、北海道では「オオヨモギ」や「エゾヨモギ」と呼んでいる、2m以上にもなる巨大なヨモギです。アイヌの人たちは、殺菌や魔除など、色々な生活の場面でヨモギを使ってきました。お産のときにもヨモギを大量に使っていたようです。ハイドロゾルはワイルドな力強い香りがします。

●白い木肌が美しい 「しらかば」の樹皮は、傷口に付けたり、肉が腐らないように包んだり、という使われ方をしていました。白い皮の内側には、こげ茶色の厚皮があって、ここにはポリフェノールがたくさん含まれています。ハイドロゾルは、ほんのり甘い幻想的な香り。

●「もくせい」は北海道ではハシドイ・ドスナラなどと呼ばれ、モクセイ科の落葉広葉樹です。キンモクセイやライラックの仲間で、ホワイト・ライラックとも呼ばれます。7月に白い花を咲かせる、非常に優美で繊細な香りの木です。抽出する部位は花。ですから木登りして花を集めるため、採るのが本当に大変。

 

5 下川町森林組合ではFSC(森林管理協議会)森林認証を推奨しているようですが、FSCとはどのような団体ですか?また、また、森林がこの認証を得るためにはどのような基準をクリアしなければならないのでしょうか?

FSCは世界基準の森づくりを審査する独立したNPOです。動植物が生育できる森づくりをすることや、先住民の権利を尊重しているかなどの、10の原則と56の基準でチェックされる、世界で最も厳しい基準と言われています。2004年12月末現在で63ヵ国、4802万haの森が認証されています。下川町森林組合は国内で11番目、北海道では初めて認証を受けました。また、詳しい情報はこちらで見ることができます。

http://www.fsc-japan.org

認証を受けた森林の木材が、それ以外の木材と混在しないよう、流通の認証も必要で、最終商品にはFSCのラベリングが施されます。

 

6 森林を守ったり育んだりするために、森林に住んでいない私たちにもできることがあるとすれば、それはどんなことでしょう?

都会の人だけでなく林業、建築、流通の人。様々な立場の人たちが、森との関わりについて注意深く考え、環境も経済もバランスの取れた社会をみんなでつくるための「場」に、参加して、話し合いましょう。

1.都会に住むみなさんや、森に関心を持つみなさん、そして林業、木材加工業、建築、流通、木材を使う人たち、行政、また、環境保護団体や、森とともに暮らす人々と その文化や経済・・・様々な立場の人たちが、森との関わりについて、それぞれの考え方を共有しあい、違いを認め合っていくことが大切だと思います。そのための場をつくり、参加し、話し合いを継続していくことで、森づくりと森林資源が循環し、森と社会が調和できるルールをつくりあげていく。精油づくりや体験ツアー、FSCなどがそのきっかけになればと思います。また、身の回りの木製品がどこから来たか、想像してみてください。環境保護団体のWWFなどにメールで質問するのもいいでしょう。わたしたちに答えられることもあるかもしれません。

2.日本は、先進国では有数の森林国で、国土の約60%が森林です。でも、日本は世界で3番目の木材輸入大国です。日本が輸入した木材は3割が違法に伐採されたものと言われています。ところが、日本の森林は、半分以上が人の手で植えられたもので、手入れがされないために森に光が入らず、木はもやしのようになっています。

まず、輸入材に関心を持ってください。どこから来たのかよく見てください。そして、日本の木材を使った商品・家を、工務店や、お店や通販に問い合わせてください。国産材の杉などは、現在は、輸入材より安い場合があります。そのことについて、親しい人と話してみてください。わからないことがあれば、WWFや、FSCなどのホームページを見てみてください。そして質問してみてください。

 

田辺大輔 プロフィール

1980年宮城県生まれ。大学ではデザインを専攻。卒業後、循環するものづくりを極めるため、木こりを2年経験したあと、下川町森林組合のモミ精油製造担当に。

モミ精油について
植物名Abies sachalinensis Masters (トドマツ:マツ科モミ属)
精油の主な成分はαピネン、カンフェン、リモネン、ボルニルアセテート。モミの葉のみから抽出した「エクストラピュア」はみずみずしいグリーンノート、葉と枝から抽出した「レギュラー」は、ウッディーで男性的な樹脂芳香があります。何もやる気がおきないとき、精神にエネルギーを与え、地に足をつける効果があるといわれています。気管支のトラブルを改善したり、血流と、組織の代謝を高めるといわれ、ロシア・欧州では民間療法として使われていました。


いただいた芳香蒸留水を試してみました!
バーチ(白樺)、モミ、ヨモギ、ドスナラの4種類の使用感と用途。
どれもとっても贅沢な使い心地。商品化されたら、ぜひ一度お試しあれ!

●バーチ(白樺)

ほんのり甘味のあるウッディな香り。クセのないなじみやすい香りは精油とのブレンドもしやすく、化粧水・パックなどなど使用範囲が広そうです。

ホワイトバーチには、肌をひきしめ、血行を促進し、老廃物を取り除く効果があり、肌のくすみやたるみ、血行不良、筋肉痛に効果的。アフターシェーブやヘアトニックなど男性用化粧品にもよく使われているようです。

●モミ

私にとってモミというのは自分の香り。というのは、名前が「有樹子」、つまり「樹の有る子」と書くので、自分の香りを樹木に探し求め続け、結果たどりついたのがモミの木だったんです。モミの木の芳香蒸留水は葉の青々しさが含まれてた凛とした清潔感のある香り。北国の森林の中にいるような透明感のあるさわやかな香りです。

モミは咳や鼻詰まりなど呼吸器系に効果があるため、花粉症や風邪のひき始めに効果があります。また鎮痛作用があるので、筋肉痛や関節痛などの湿布にも向いています。そして脱臭効果や殺菌作用にすぐれているので、ルームスプレーやデオドラントなど家の中で幅広く活躍できそうです。

●ヨモギ

和菓子のヨモギとは違う独特な香り。芳香蒸留水をそのまま嗅ぐと、漢方薬のようなクセのある香りがして、いかにも体によさそうという感じでした。しかし実際に肌につけるとにおいはそれほど気になりません。ヨモギは陣痛促進作用があり、お産に使われると聞いていたので、出産のときに病院に持って行きました。そして陣痛の合間にヨモギでおなかを湿布。ほどよく陣痛がきて、なかなかスムーズなお産となりました。ヨモギよ、ありがとう!

韓国ではヨモギを煎じて下半身を蒸らすヨモギ蒸し風呂が有名ですが、これは血行促進作用があるため、冷え症や腰痛などの女性に多いトラブルに効果があるようです。芳香蒸留水を使う場合は、湯煎で暖めて温湿布にすると効果があるかもしれません。

●ドスナラ

ほんのりとスッキリしてて、ほんのりと甘い香りがします。クセがなく使いやすい香りです。

効能に関する情報が見つからなかったのですが、クセがなく使いやすいので化粧水からパックまでいろんなことに使えそうです。


後書き

さてさて、どうでした?私は、精油を採るために木を伐るのではなく、間引きや間伐したものを有効利用するために精油や芳香蒸留水を採るということに非常に感心しました。木を見て森を見ずという言い方がありますが、それとは逆に、森林組合の方々は森のために木ばかりでなく枝や針葉樹の葉1本でさえもしっかりと見つめているように思いました。そういう思いがあるからこそ、あのように美しい香りがうまれるのでしょう。

都会に住んでいても森林を守ることはできると田辺さんは教えてくれました。このトピックをきっかけに森林についてもっと知りたいと思う方々が増えるといいなと思います。

下川町森林組合のホームページ http://www.shimokawa.ne.jp/shinrin/wellcome.html

最後に、田辺さん、ご協力どうもありがとうございました!!

 

 

 

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